自転車に乗り始めるのはだいたい
3~6歳くらいだろうか。
それは人間が歩けるようになるまでは
生後1年ほどたってからだし、
ペダルを踏めるように脚力がつくことと
歩くことにより、高度なバランス力が身
についてくるためでもある。
たとえば危険回避のために一瞬の間に
判断してハンドルを操作し、方向を変更
しなければならない状況がある。
場合によってはブレーキ操作でバランス
を取りながら行わなければならない。
脚力をはじめ、
周辺の情報収集力、判断力、バランス力、
がなければ自転車に乗れないのだ。
逆に考えれば、
自転車に乗る行為は人間が本来持ってい
る能力を活性化させる効果がある、
と言える。
自動車なんかは鉄とガラスに囲まれ、
自然から隔離された人工的な空間の
中で運転しますよね。
一方で何も覆うもののない自転車は
五感を総動員して乗るものだ。
たとえば山の中の道路を走っていると、
前方を見てカーブミラーを確認し、
カーブの時は耳を澄まして対向
からくる車の音に注意をはらい、
大気の温度を肌で感じ、
森から出てくるかもしれない小動物に
期待を寄せながら、
想像して走って動物的感覚に気がつく
はずだ。
[マルチタスクで脳を活性化]
宇宙飛行士の毛利衛氏はNASAで、
遭遇するかもしれない緊急事態に
対応できるように、
[マルチタスク]の訓練を行っていた
という。
計器と地上と窓の外を見るということを
秒単位で繰り返すのだ。
目や耳で自分のもつ感覚を総動員して
1秒でも危険回避ができるようにする
のだという。
自転車でもこの感覚に近いものがある。
特に自動車や歩行者の交通量の多い都会
の道路を走行するときにも発揮されてい
る。
事故の危険に常にさらされていると考え
事前に巻き込まれないように察知する機
能が活性化するためだ。
たとえば目の前の自動車や歩行者の位置
を確認し、危険が起こる情景が瞬時に察
知できてくる。
信号が変わり車が急に止まったり、
車が右折するかもしれないし、
急に歩行者が渡ってくるかもしれない。
そのような想定のもとブレーキをかける
か、事前に減速するか、の判断を一瞬で
下せる能力がついてくる。
脳を活性化していない状況ではなかなか
判断ができないものである。
さらに人間の五感を総動員することで
マルチタスクに危険回避ができるように
なる。
それにはやはり自転車が最適かもしれない。
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